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My Sensibility - サンカかもしれない爺さんの話

サンカかもしれない爺さんの話

カテゴリ : 
My Sensibility
執筆 : 
Ya(^z^)oo 2008-6-12 0:21
少しまえに、サンカではなかったかと思われる爺さんの話を、
地元の自然保護グループの人から聞いた。

サンカではなかったとしても、
一生を深い山で過ごし、炭を焼いたり鮎やウナギを獲ることを生業にしていたのだから、
極めてサンカに近い存在だったのではないかと思います。

その爺さんは、十年程まえに九十歳くらいで亡くなったそうですが、
恐ろしいくらい、山の自然に詳しかったそうです。

炭焼きで、紀伊半島南部の山々を転々としていたそうで、
どこどこには、どんな植物が生息し、
どんな虫がいて、どういう生態なのか、
また山に暮らすすべての動物の生態まで、
学者が愕然とするほどのことを知っていたみたいです。

あの爺さんは山のことならなんでも知っているという噂を耳にした学者が、
何度か訪ねてきては、山を案内したこともあったそうだ。

日本カモシカの調査に同行したことがあったそうで、
学者や学生が何日もかけて綿密に調べた結果をみて、
その爺さんが違うというので、
もう一度調べ直したら、
爺さんの言ったとおりの結果だったこともあったそうだ。

また、木の生息域を調べたときも、
学者よりも爺さんのほうが遥かに正確だったらしい。
自然は、学説とおりではなく、
多様性を持っているということを、
あらためて学者が学んだという話まで残っているそうだ。

そのときに爺さんが、
ワシらは山主から木を買うときに、お金になる木を知らなあかん。
そして、見積もったものより、ちょっと少なめに買うんや。
ちょっとだけ儲かったらええんや。
ようさん儲けたらあかんのや。
と言ったという話を聞いて唸ってしまった。

なにをしても、今だけ儲かったらよいというような、
愚かな考えは、微塵もなかったのかもしれません。

以前、テレビで見たのですが、
創業200年以上の企業は、
ダントツに日本が多く、3000社以上あって、
4000年の歴史を誇る中国でさえ、
10社にも満たなかったように記憶しています。

利を第一に求める企業でさえ、
その爺さんと通じる感性というか、
知恵を持っていたのかもしれません。

その爺さんが学者に語ったといわれる言葉があります。

山のことを知ろうと思ったら、
地べたに寝な、ほんまのことはわからんよ。

うん、サンカかも知れないと思いました。

記憶力や観察力、それにものの道理を知るという意味においては、
学者たちが舌を巻くほどのものがあったといわれる爺さんですが、
そういう無名の殆ど誰も知らない爺さんみたいな人が、
この国のあちらこちらに存在していたのかもしれないと思ったら、
嬉しいような寂しいような、複雑な思いがいました。
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